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【高校生交換留学体験談】小野真心さん(南アフリカ派遣)第1回

更新日:11月15日

 2024年夏からEIL高校生交換留学南アフリカ派遣プログラムに参加している小野真心さん。今回、ご自身の留学体験を多くの方と共有したいと、レポートを書いてくれました。


 到着後の様子からご自身の英語力、現地の治安など多岐にわたって書いてくれました。ぜひお楽しみください!

 

早いもので南アフリカケープタウンでの生活も2ヶ月が経過しました。留学期間の6分の1が過ぎてしまったことになりますが、この2ヶ月間で感じたことを書きたいと思います。


出発~到着まで

 出発日は深夜便にも関わらず、空港に友だちが大勢見送りに来てくれました。余計にひとりになった瞬間に涙が止まりませんでした。単身での国際線は初めてのためとても不安でした。途中ドバイでの乗り継ぎを経て丸1日かけて無事ケープタウンに到着しました。


 留学生にとって南アフリカの入国審査は鬼門と言われていて、滞在期間の確認をきっちりしておかないと不法滞在扱いになってしまうことでした。ビザ発給の際に大使館の方やEIL のスタッフの方から念を押されていたので、機上で頭の中で入国審査のシミュレーションをずっと行っていましたが、結局緊張してアワアワしてしまい、「NO.NO」と言われるばかりで到着早々に途方に暮れる羽目に。どれだけ時間がかかったかは覚えていませんが、最終的に何とか入国することができ、振り返った時には誰もいませんでした。


 ホストマザーと彼女の娘と孫娘、友だち、仕事仲間などが出迎えてくれたときには心底ほっとしました。疲れと緊張で、想像していたより寒かったことしか覚えていません。


家族

 私のホストはホストマザーひとりですが、彼女の息子夫婦が敷地内同居しており、ダブルプレイスメント(他国からの留学生と同じホストファミリー宅に滞在すること) でベルギーからの留学生も一緒に暮らしています。彼とは同じ学校に通っています。近所にホストマザーの娘家族の家もあり、ホストマザーは4人のシスターと3人のブラザーのいるビッグファミリーで、正直今現在も混同して誰が誰だか分からなくなります。事前のファミリーレターで私が犬好きということを知って声をかけてくれたようで、初日は近所の子どもたちがそれぞれ自分のペットを連れて遊びに来てくれました。温かい歓迎に嬉しくなりました。ホストマザーは世界中の若者と交流するのが楽しいと、留学生の受け入れを10年以上も行っているベテランホストです。とてもアクティブかつパワフルな人で、到着の翌朝6時頃に物音がしたので起きると、彼女と彼女の仕事仲間がランニングの格好で話をしていて、私を見るなり「走り行くぞ!」と言われ、私もいきなり8kmを走ることになりました。マザーは孫もいる年齢なので軽いジョギング程度かと勝手に思っていたら、結構なハイスピードで、きっと部活で普段から運動をしていなかったら体力がなく着いて行けなかったと思いました。また、彼女はクリスチャンで週末は一緒に教会に行くこともあります。とても新鮮な経験です。



学校生活

 私の学校は家からとても近く徒歩で通学しています。Grade8から12まである生徒数約800人の公立学校で、友だちに聞いたところ人種の内訳は黒人6割、白人3割、その他カラードが1割とのこと。アジア人は見かけません。私はGrade11に所属していて日本でいう高校2年に当たります。始まりは8時で先ずRegister classがあり先生が来るまで廊下で待機し、その後授業クラスに移動します。授業は午後2時までです。


 SubjectはAfrikaans(アフリカーンス語)、English, Mathematics, Life orientationが必修で残り3つの選択科目で私はTouris. History, Physicsを取っています。基本的にレベルは日本の学校と比べてとても簡単だと感じます。しかし私にとっては全てもちろん英語なのでとても難しいです。特にAfrikaans は留学生にとっては難解で自分は自習をさせてもらっています。Mathは中3、高1ぐらいの内容です。ひたすら問題を解くだけの授業なのですが、とても簡単だと思われる計算でもcalculatorを使っていて衝撃を受けました。生徒はもちろん先生もです。普段の買い物の際の計算などどうしているのか疑問に感じました。Englishは物語文を扱っていて12chapterあり1chapterごとにサマリーと問題を解いていきます。ひとりずつ何行か読んでいく形で、私は語彙力も足りなく、発音も困難なため拷問かとも思える最も困難な時間です。他の生徒は半ページくらいで交代ですが、先生が自分の時は3行ぐらいで終わらせてくれます。もっと勉強しないと!と焦るばかりです。Life orientationは保健に近くノートにスライドの文字をwrite downするだけです。Tourismはアフリカの観光について学んでいます。Historyは南アフリカの歴史、主にapartheidについて。この2つは同じ先生であまり教科書を使わないのでほぼ聞くだけ、教科書を開いてるのはごく一部です。Physics はやはり単語が難しい、といった感じです。


 その他学期の最後に大きいテストは、1日1科目で選択者以外は欠席したり、日本とはだいぶ違います。History のテストは基本エッセイを書くもので、私は電子辞書を使うことが許可されています。語学力に差がある留学生には配慮がありとても助かります。


 授業以外の学校の治安に関しては日本との違いを痛感しています。多くの生徒がVape(電子タバコ)を吸っていて授業中でも構わず先生の目を盗み使用している人もいます。机はほぼ全ての机にたくさんの落書きがあり、床にはガムのポイ捨てが多いです。私の(一般的な日本の)衛生観念とは大分かけ離れていると感じるので、トイレは使えず我慢することが多いです。


 しかしそれで学校生活が辛いのかといえばそんなことは決してなく、まわりは本当に優しくフレンドリーなのです。出発前の友だちができなかったら嫌だなあという不安は杞憂に終わりました。登校初日からたくさんの人が話しかけてくれました。分からないことを聞いても嫌な顔せず教えてくれます。休み時間はカードゲームやチェスに誘ってくれます。日本の私の友だちと変わらず、男子はしょうもないことを大量に吹き込んできます。多くの人が日本に興味を持っていると感じます。特にやはりアニメの影響が大きいです。アニメのセリフで話しかけてくれたり、あの意味は何なの?とたくさん質問されます。アニメやマンガに詳しいことがこんなに役に立つ日が来るとは!と、少しは文化交流に貢献出来ているのではないでしょうか。



課外活動

 私の通う学校は男子がRugby,女子はNetball (バスケに似ている)が校技です。私の日本の学校も校技がラグビーで全国大会常連、自分は所属こそしていないものの得意だと思っていたことと、ホストマザーや友だちにも勧められたのでクラブ練習に参加しました。初回は難なくミニゲームをこなし余裕だと思い2回目も参加することに、しかし!とんでもないフィジカルのトップ選手たちはマウスピースもヘッドキャップもなし、それで本気のタックル、私の友達は額から大量出血で縫うことに。それを機に二度と行かないことを決めました。世界ランク1位の国の競技を舐めたらいけないと身を持って体感した出来事です。

 それでも私は体を動かすことが好きなので、ホストマザーの入っている町内ウォーキングクラブに入れてもらいました。近所の人と月曜日、水曜日、木曜日に集まってウォーキングやランニングを楽しんでいます。週末にはマザーと10キロほど走ることもあり、人と一緒で安心ですし、自然の多い景色の中でとても良いエクササイズになっています。今後は現地受け入れ団体のサーフボード教室も体験できたらと思っています。


 食事

 朝は基本オートミール、学校にはパンにピーナッツバターを塗り持っていきます。プラス少しのお菓子。学校には購買的なものがあり軽食を購入できますが、いつも混雑していて私は利用しません。夜はパスタ、冷凍のチキン、フライドポテトなどなど。土曜日は朝は同じ昼はホストマザーとファストフードのドライブスルーに行くことが多いです。夜は同じ。お気付きでしょうか?野菜が0%だと言うことに。自分は野菜が好きなので最初はキツいなあと思いましたが今では慣れました。日曜日はマザー曰くチートデイで、親戚の家に集まり大勢でBraaiを食らいつくします。Braaiとは南アフリカ式のBBQでこれが大変美味。このBraaiの際はみな口々に「Leekker(アフリカーンス語でいいね!という意味)」を連発します。美味しく楽しい、南アフリカ人が大切にしている大事な文化だと思います。週末のBraaiでご馳走があるので平日の食事には一切不満は生じません。


英語力について

 2ヶ月が経ち、日本語を一切話さない時間は思っていた以上に苦痛です。特に苦戦しているのは英語の発音で、私は1回目で相手に言いたいことが通じることの方が少なく、今更ですが発音の参考書を買いました。正直自分は1ヶ月ぐらいで慣れるものだと思っていました。あまりに話が出来ないので長時間睡眠で現実逃避してしまいました。今はこのままじゃだめだなと思い勉強を始めていますがあまり伸びている気はしません。Listingはちょっと向上したかなという感覚です。先輩方のように話せるようになるのかなと疑問です。しかし、幸いなことにホストや友だちは、何度聞き返したり言い直しても馬鹿にしたり、嫌な顔をすることはありません。先生の話(テストの日程や課題の締め切り)なども聞き漏らしがありそうな時は、友だちが教えてくれます。それがどんなに心強いか。言語の壁は高く、嫌になったり話すのが怖くなる時がありますが、すぐに翻訳に頼ってしまうことを止めて、Nextレポートの時には良い報告ができるよう頑張ります


 ベルギーからの留学生

 彼は18歳。自分とは価値観、道徳感全て相違を感じます。私と彼との間には些細なトラブルが頻繁していますが、その都度きちんと話をするようにして、彼はだんだん変わってきてくれているように感じています。南アフリカとの文化の違いだけでなく、ダブルプレイスメントのお陰でベルギーとの文化や考え方の違いを知ることが出来ています。私が彼に何か良くも悪くも影響を与えているのかどうかは今はまだ分かりません。各国からの留学生がみな同じ志を持って南アフリカへ来ているわけではないこと、様々な価値観を学ぶことに繋がっています。


家での生活

 私はElLのオリエンテーションで言われたように、寝る時以外は自室に籠ることは避け、リビングにいることを心がけています。部屋にいたらスルーされるような荷物を運ぶなどちょっとした手伝いを頼まれたり、買い物にも声をかけられたりします。たまにカレーやラーメンなど作って振る舞ったり自分で食べたりして過ごしています。


治安について

 実際南アフリカ、ケープタウンは安全安心な都市とは言い難く、最近も邦人旅行客が強盗致傷にあう事件がありました。しかし、私たち留学生は気を付けてさえいれば、十分に安全を確保できる場所に派遣されていると思っています。比較的近所でもゴミを漁っている人、失業者、道路での物乞いの人を見かけない日はありません。分かってはいましたが、日本の自分の周りではなかなかない光景なので慣れることはなく心が痛みます。私は家から1.5kmくらいのスーパーなら歩いて出かけて良いと言われています。しかし暗くなったらどんなに近くても誰かが車で送ってくれますし、迷わずUberを利用します。夜間の独り歩きや、人前で金品を出す、などの行動を避ければそれほど不安を感じることは無いと思います。

 

まとめ

 初回から長くなってしまいましたが、言語に苦戦しつつも私が大変有意義な毎日を送っていることは伝わったのではないでしょうか。まだ2ヶ月と思うかもう2ヶ月と思うかは自分次第ですが、正に見ると聞くとは大違いで、この期間で日本でいかに自分が恵まれ、道徳的に素晴らしい教育を受けて、安全を保証された生活していたのかを実感することができました。同時に私が南アフリカで優しい人々に囲まれ充実した留学生活を送れていることは、送り出してくれた家族や先生、EILのスタッフ、OBの方、友だち、応援し背中を押してくれた全ての方のお陰です。感謝とともに、残りの留学生活も全力で挑戦し続けることを誓います。




(写真、文:2024年南アフリカ派遣生 小野真心



 

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