2023年9月よりEIL高校生交換留学カナダ(学区指定)派遣プログラムに参加していた瀧澤遼花さん。今回、ご自身の留学体験を多くの方と共有したいと、レポートを定期的に書いてくれることになりました。
最終回のレポートでは、ご自身の留学生活を振り返って書いてくれました。ぜひお楽しみください!
2023年カナダ学区指定派遣の瀧澤遼花と申します。私は2023年9月から2024年6月末まで、カナダのオンタリオ州にあるRedbridgeという村にステイし、North bay という街にある学校に通っていました。この1年間、辛いことや大変なこともたくさんあったのですが、想像の何十倍も充実していて楽しい1年でした。
カナダでの生活
私が住んでいたRedbridgeという村は文字通り森の中にあり、600人くらいが住んでいるそうです。周りを見渡せばどこも木ばかりで、散歩に行く時にファミリーにかけられる言葉は「熊と野良犬に気をつけてね!」でした。一言でいうととても自然豊かで、家の裏には森が広がっており、家の隣にはマザーの鶏小屋とファザーの養蜂場、そしてメープルシロップを作るための小屋やトラクターの置いてある車庫などがありました。街までは車で30分弱かかり、学校にもスクールバスで1時間半ほどかけて通っていました。
ホストファミリーは、マザー、ファザー、1つ下のシスター(Katherine)、そして同い年のドイツからの留学生(ダブルプレースメント)でした。ホストシスターと年が近かったこともあり、ダブルプレースメントのBrittaとKatherine とはとても仲良くなり、家では3人で映画をみたり、散歩に行ったり、一緒に料理やおやつを作ったり、街まで行って3人でショッピングしたり、湖に行ったりと沢山の時間を過ごしました。
留学初期には言語、友達作り、学校生活などで悩むことも多くあったのですが、2人はいつも親身に相談に乗ってくれたり、問題の解決方法を一緒に考えてくれ、彼女らは私の留学生活の中で大きな意味を持つ存在でした。人種も国籍も出身地も、そして育ってきた環境も異なる2人ですが、いつも親身になって私のことを勇気づけてくれて、本物の姉妹のようになれたことがとても嬉しかったです。
ホストスクール
ホストスクールは街の中で2番目に大きい学校で、学校には純カナダ人だけではなく、移民として引っ越して来た人や、生まれた時からカナダに住んでいるけれど家では違う言語を使う人、また私以外にも様々な国からの留学生がいたため、カナダの大きな特徴である「多様性」がよく現れていました。
オンタリオ州の学校では1学期間に4つずつ授業を取り、5ヶ月間はその4科目を集中的に勉強します。授業は選択肢の中からある程度の基準はあるものの、基本的には自由に選択することができます。私の中で特に印象に残った授業は、2学期にとった英語の授業です。その授業では、カナダがイギリスやフランスの植民地になる以前から北アメリカに住んでいた先住民について勉強しました。私はそれについての先入観などが全くない状態で授業を受けたのですが、違う文化の出身として授業内で発言をする機会が多くありました。日本とカナダの文化の違いについて色々な側面から話すことがあり、自分の持つ価値観と、カナダで育ってきた子たちとの価値観の差がよくわかりとても面白かったです。
授業が終わると部活動に参加するのですが、スポーツはシーズン制になっているため、私は冬にクロスカントリースキー部、春に陸上部に参加していました。また他にも、吹奏楽部に入部してトロンボーンを吹いていました。日本のように朝礼や終礼を行うクラスがあるわけではなく、学校行事も有志参加のものが多く、授業以外で新しい人と出会う機会も少ないので、クラブ活動を通してできた友達がとても多かったように感じています。友達作りで言うと、最初の方は英語があまり上手ではなかったので、なかなか友達ができず苦労したのですが、受け身の姿勢をやめ、とにかく自分から話しかけることで、どんどん知り合いが増え、その中でも気が合う子とお昼ご飯を食べ始めると、その後はそこから交友関係が広がっていき、帰国する時までにはたくさんの友達ができました。そして友達が増えるに伴い、英語力もだんだんと上がっていきました。
感じたこと
この1年間で私が強く感じたことは、どこの国に住んでいても、どんな文化出身でも、彼らは同じ人間であるということです。カナダに行く前、私は言語も育ってきた環境も違う人たちの中で1年間暮らすことを不安に感じていました。日本の中でさえ、同じ学校、同じクラスの中でさえあまり性格が合わない人がいたり、喧嘩が起こることがあるのに、価値観の全く異なる人たちと過ごすことはとても大変なのではないかと想像していたからです。そして実際の生活の中でも、価値観の違いから驚かされることも多くありました。しかし、その中でも慣れない文化の中で家族と離れて留学生として暮らす私のことを気にかけてくれるクラスメートや、国籍は違えど私のお姉ちゃんと妹だと言えるホストシスターたちに出会ったり、私が日本で友達としていたのと同じような他愛もない会話をしたりと、私が想像してたよりはカナダでの日々は「日常」と呼べるものでした。東京から10,000キロ以上も離れた場所で、初めて出会う人たちとの生活を日常と呼べるものにさせてくれたカナダでのホストファミリーや友達をはじめとする人たちとの出会いは、私にとって大きな財産であったと思います。
また、初めて訪れる場所で実際に生活しその地の人と会話を交わすことで、それまでは「遠くに住む外国人のうちの1人」だった顔も名前も知らない人が、私にとって大切な人たちになっていきました。当たり前かもしれませんが、その経験を通して、私の全く知らない世界に住んでいる人でも一人ひとりに人生があり、大切なひとがいて、私や私の周りの人たちと同じような1人の人間であるということを強く感じるきっかけになりました。国籍や、住んでいる地域、宗教、育ってきた環境などはもちろんその人を形成する大きな要素だと思いますが、それが異なるからといって、その人たちと仲良くできないわけでも、友達になれないわけでもありません。人が一人ひとり違うことは極めて当たり前のことですし、それらの違いを大きく受け止めすぎることはないと学ぶことができました。
EILの事前オリエンテーションで、ホームステイは世界平和を目指して始まった制度であるということを聞き、その時に言われた「友達がいる国と戦争したいとは思わないでしょう。」という言葉が私の中で強く残っているのですが、今はそれを身をもって実感しています。私はこの留学を通して様々なバックグラウンドをもった人と出会い、確かに彼らがルーツを持つ国と日本が戦争を始めたりしたら、いてもたってもいられないと思います。きっとその時私の頭に浮かぶのは日本とその国の関係性や利害関係ではなく、友達の顔でしょう。このように、「遠くにある国の人」ではなく個人のことを考えられると、きっと戦争も減っていくのだろう、とオリエンテーションで聞いた言葉の意味が少しわかったような気がしています。
最後に、この1年間交換留学を支えてくれたホストファミリー、現地の友達、ローカルコーディネーターさん、EILとYes Canadaの職員さんをはじめとするたくさんの方々に感謝の気留学体験談持ちでいっぱいです。貴重な経験を本当にありがとうございました。
(写真、文:2023年度カナダ派遣生 瀧澤遼花)
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