コロナ禍で影響を受けたEIL高校生交換留学 受入プログラム。日本政府が実施した入国制限によって、来日予定だった生徒は軒並み渡航中止になってしまいました。一時的に制限が緩和された昨秋のタイミングでプログラムを開始した5名。そのうち1名がドイツとアフリカのバックグラウンドをもつ、イギリス出身のオスマンです。
オスマンは12月に来日、東京での2週間の隔離期間を経て長期滞在先の兵庫県に移動、3ヶ月の留学プログラムを終え、3月5日に帰国しました。来日前のPCR検査や到着後のホテルでの隔離、オンラインによるオリエンテーションなど、通常とは異なる様々なハードルを越え、ようやく実現した日本への留学。日本での時間を決して無駄にしたくない。数多くの留学生を受け入れてきた私たちから見ても、オスマンはその意識が特に強い生徒でした。
隔離の間も日本語でできるかぎり話すようにしたり、オリエンテーションの課題に取り組んだり、規則正しい生活をしながらホテルの自室でトレーニングしたりと、自分でできることを最大限やりながら、毎日を充実させようという姿勢が見られました。受け入れていただいたホストスクールからも『彼に関わった人すべてが喜びを共有することができました』と評価の高いオスマン。帰国日もぎりぎりまで学校に滞在し、合唱コンクールのピアノ伴奏をしたそうです。 このような時期に来日することに関して不安がなかったのかと聞くと『不安は全くありませんでした。たった3か月ですし。でも母は心配しました。それはコロナのことではなく、イギリスから遠くて文化の違いが大きい国に行くことそのものに対してでした』とのこと。それでも、最後はみんなで日本への留学を応援してくれ、お母さんは、手作りのマスクを持たせてくれたそうです。また、留学期間中は常に手洗いうがいも心掛けていたそうです。
来日当初から日本語が上手だったオスマン。でも日本語学習はすべて独学で、学校で履修した経験はありません。日本に行きたい、その意欲が彼を日本語学習に掻き立てていたようです。新型コロナウイルスの影響で一度はあきらめた日本への留学が実現し、満を持して来日。目にするすべてがとにかく新鮮で、しばらくはそれが現実だと受け入れられなかったそうです。日本に到着した日、初めての日本食は吉野家の牛丼。そのおいしさに思わず、言葉を失い、一呼吸おいてから「私は今感動しています」と一言。日本人の私たちにとっては、日常生活の延長にある、ごく普通の食事。でも、オスマンにとってはかけがえのない経験になったようです。手で目を覆いながらつぶやいたその言葉に私たちも感動したのを覚えています。
お世話になったホストファミリーとは良好な関係を築けていたようで、『週末は家族と出かけることも多く、奈良や京都、大阪などに連れて行ってもらいました。毎日、毎日食事がめっちゃおいしかったです』と日本食もおおいに満喫したようです。留学前から好きだった日本食は「かつ丼」。日本に留学して新たに「鶏のから揚げ」と「切干大根」が好きな食べ物に加わりました。帰国後、ホストファミリーに教えてもらった鶏の唐揚げとお味噌汁をイギリスの家族にふるまい、食卓を囲んでいる写真が、ホストファミリー宛てに送られてきたそうです。
最後に、イギリスにない日本の習慣で、面白いと思ったことは何かという質問に対しては、『いっぱいあるけど、学校で靴を履き替えることかな』だそうです。普段私たちが気にしていない、何気ないことであっても、海外の人にとっては新鮮なこととして映ると気づかされた一言でした。
オスマンの留学を支えてくださったホストファミリー、ホストスクール、エリアレップを始めとするすべての方に、心よりお礼申し上げます。
EILの受入プログラムではホストファミリーを募集しています。
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