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「高校留学と大学留学の違いって?」第1回 ~2014年フランス派遣 池田康寿さん~

更新日:11月15日

高校生交換留学プログラムの説明会を開くと、「親から留学は大学生になってからにしなさいと言われた」とか「高校留学と大学留学の違いがわからない」などといった声が聞かれることがあります。

でも、高校生交換留学と大学生で行く留学は実は全く異なります。その具体的な違いとは一体なんなのでしょうか。

このシリーズでは、高校時代に交換留学を体験し、その後大学留学(1年留学/4年留学)も体験したOB/OGの言葉から、高校留学と大学留学の違いについて紐解いていきます。


第1回は、2014年にEIL高校生交換留学プログラムでフランスに留学した、池田康寿さん(愛知県出身)です。

 

Q1. 高校から現在までの経歴を教えてください

 2014年、高校2年次にEIL高校生交換留学プログラムでフランスのアルデンヌ地方へ10ヶ月間留学しました。帰国後、高校2年生に復学し、2017年同志社大学に進学しました。大学2年の時に同志社大学の交換留学制度を利用して、フランス国立東洋言語文化大学(INALCO)へ1年間留学しました。


注目を集めるために袴で登校したことも

Q2. 高校留学をしようと思ったきっかけは?

 きっかけは2つあります。1つ目は母の影響です。母が学生時代にアメリカ留学を経験していて、毎年海外の友人からクリスマスカードが届いていました。海外に友人がいるということがカッコよく思い、ずっと憧れてました。なので、自分も海外に友達を作りたいと思ってました。また、「高校の友達は一生の友」ということを両親からよく聞かされていたので、高校時の留学に拘りました。

 2つ目は、自分を変えたかったからです。それまでの人生の中で挫折を味わった経験があまりなく、あっても逃げ続けてきました。毎日目的意識もなく、学校には行くことが目的になっていました。その様な学校生活も楽しかったのですが、この先の人生、このままでは貴重な学校生活が無駄になるという危機感も同時にあり、思い切って留学しようと決断しました。


Q3. 大学でもう一度留学しようと思った理由といつ決めましたか?

 高校の留学から帰ってきた時から大学でもまたフランスに留学したいと考えていました。その理由は、フランス語でのコミュニケーションや講義を理解できるようになり、留学生活がやっと楽しくなってきたな、というところで帰国になってしまったからです。それがものすごく悔しくて、大学でもフランス留学は絶対にしたいと思っていました。

大学生だからこその友だちとの楽しみ方も

Q4. 大学の留学先を決めた理由は?

 フランス語でのコミュニケーション力をもっと磨きたいという思いと、もう1つの理由があります。それは、海外から日本という国がどのように見られていて、どのように学ばれているのか興味を持ったことです。高校でのフランス留学時、クラスの半分がトルコ系やアフリカ系の生徒でした。授業中、人種を超えて仲良くしていても授業外では同じエスニックグループで祖国の言語で会話している様子を見て、現代のフランス社会が持つ移民問題が垣間見えた気がしました。また、私が留学した年は、シャルリー・エブド社襲撃事件(パリにある新聞社で起きたテロ事件)が起きた年で、特に移民と現地の人々の間における軋轢や社会におけるマイノリティへの差別について考える機会が非常に多くありました。

 日本でも人口減少社会に伴い、今後移民の流入が予想されています。そこで、大学留学では今後日本に入ってくる人たちから日本という国がどのように見られているのか、また、外から見た日本社会は移民を受け入れる上でどのような課題があり、何を変えなければいけないのか学びたいと強く思いました。そこで、フランスで日本学の研究で最も権威のある国立東洋言語文化大学を留学先として選びました。


Q5. 高校留学と大学留学の違いは何だと思いますか?

第2の家族となったホストファミリー

 どちらの留学にもメリット、デメリットがあったと思います。大学留学は責任を伴いますがすごく自由でした。なので、大学留学の留学中は旅行もたくさんしました。

 一方、高校留学は責任があまりない分、自由ではありません。でも、現地の生活に密着した生活を送ることができました。また、交換留学ではフランス国内の中で具体的な派遣地域が選べないので、旅行では決して訪れない地域の生活を体験することができました。日本でも、東京を知っているだけでは日本を語ることができないように、フランスでも大都市だけ行ったとしても、フランスを幅広く知ることはできません。都市部の生活、地方での生活を体験し、やっとフランスのことを知ることができると思います。そういう意味で、高校留学は大学留学では決して得ることのできない体験をすることができたと思います。

 さらに、高校ではホームステイでの滞在だったことは大きいです。現地の一般の家庭で生活するということは、もちろん喧嘩をすることもありますが、それを通して第2の家族を作ることができました


Q6. 高校生の間に留学するメリットは何だと思いますか?

 2つあると思います。1つ目は、目的意識を持って大学生活を送ることができる様になるということです。私が大学へ進学して気づいたことは、日本の大学生のほとんどが目的意識を持たないまま大学へ進学しているということです。就職するために大学に行く、という人が多いからかもしれません。その点、私は上述したとおり、大学4年間で何を学び、研究したいのかがはっきりしていました。これは高校で留学したからこそ得ることができたものだと思います。

 2つ目は、本当のフランスの姿を見ることができ、行動力が身についたことです。フランスを選んだ理由はJAPAN EXPOなどが毎年開催されていて、異文化に寛容な国だと思ったからです。しかし、実際は「日本って中国のどこ?」という質問、街中では差別のオンパレード、道端でタバコを投げられたことさえありました。日本人として誇りを持っていた分、留学当初はこれが現実なのかとすごく落ち込みました。しかし、そこでめげずに行動を起こしました。工夫を凝らしたプレゼンテーションを自ら志願して行い、他学年、地域の学校でもそれを行ったことで自信がつき、行動力がついたと思います。高校留学で身につけた行動力というのはその後の生活でも生かされていて、例えば、大学の講義で納得ができないところがあれば教授に直談判したり、海外に一人旅で行き、国境を目指す時に現地の人に道を聞きまくる等の日本の友人には大胆だと言われる様な行動も躊躇することなくできる様になりました。これも、高校の時に留学していなければ身についていなかった能力なのではないかなと思います。


 

次回は、アメリカへの交換留学に参加した後、アメリカの大学に進学したOGの体験談を予定しています。お楽しみに!


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